2011年に白金台にワインショップ「ピクール」をオープンし、多忙を極めながらも2012年を迎えた。その年の目標はECサイトをオープンさせることであった。エンジニア出身である私はそのスキルを十分に生かすべく、中規模ECサイトのディレクション、デザイン、プラグイン開発を担当しプロジェクトに臨んだ。その甲斐もあって、規模にしては多機能すぎなのでは、と思うほどの出来となり、サイトオープンを迎えたのだが、私がクライアントへ日頃からアドバイスしている大事な点を、私自身が忘れていたことに気づかされることとなる。
それはサイト公開後のこと、そう、運営部分、更新の継続である。多くのECサイトの目的としては、商品を購入してもらうこと、そのために商品が魅力的に映るようにすること、が挙げられるであろう。そのために様々な機能を盛り込んだ結果、登録作業に必要な多くの情報や素材の準備、登録作業時における項目や設定の多さ、により、更新に多くの時間を必要とするサイトとなってしまった。人員確保やコスト面から頻繁な更新が困難になり、最終的にはECサイト自体の閉鎖という決断をすることに。
さて、2022年、ECサイトを再び立ち上げようと、全面リニューアルで臨むことにした。購入者側からは便利で簡単に購入できて、運用側も簡単に登録できる、これは言うは易し、実現は容易ではないのだが、少ない登録項目から多くの内容をバックグラウンドで自動抽出する機能を各所に盛り込み、最小限の登録内容で最大限の情報を引き出すことに成功している。他にもカート機能のフルスクラッチでの独自開発、送料の自動算出プラグイン開発(業界初)など、想定していたより開発期間はかかってしまったが、以前の痛すぎる学びがあったからこその今回、3度目のリニューアル、どのような効果をもたらすサイトとなるのか、自分でも楽しみなサイトである。
2012年のECサイト制作の際、協力会社の方には私が妥協しないことでご迷惑をかけてしまった、本当に申し訳なく思っている。この場を借りて、お詫びしたい。
2022−
Client : pcoeur
Direction / Design / Program / Photo : TESSY Ital